World Ballet Day2023 イギリスからは7つのカンパニーが参加

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ISTD

Imperial Society of Teachers of Dancingは、ダンサーとダンス教師のサポートや教育を行う組織のようです。

The Royal Ballet

英国ロイヤル・バレエはオルガ・エヴレイノフのクラスレッスンからスタート。ピアニストのニッキー・ウィリアムソンさんはロックなファッションで注目しちゃいました。ヴィオラ・パントゥーソが1番目立つバーにいますね。プリンシパルはマシュー・ボール、マヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディ。他にもいるかな???ファースト・ソリストはジョセフ・シセンズがいますね。ソリストのルーカス・B・ブレンツロド、佐々木万璃子さんや中尾太亮さんのお顔も見えます。センターではハリソン・リーが丁寧に動いてとても印象に残りました。

カメラマンさん、あんまり動かずに撮影してくれないかしら…
見たい方が全然見れません。あと、バレエファンは顔のアップより踊っている姿全体、ムーブメントを見たいので、せっかくの動きの一部だけを切り取って映されても…

最初のリハーサルはウェイン・マクレガー《ダンテ・プロジェクト》
ダンテのウィリアム・ブレイスウェルとベアトリーチェの金子扶生さん。待ってました〜!!!ウィリアムは敬愛するするエド・ワトソンのために作られたこのダンテをどう作り上げていくでしょうか。ダイナミックで力強くもしなやかなアームス&レッグス、緻密で繊細な役作り、誠実で知的アプローチに優れた唯一無二のダンテになることでしょう。こんなにロンドンに観に行きたい公演は他にありません(涙)扶生さんがウィル・ダンテのベアトリーチェ役でとても合いますね。サタンはメリッサいいな。パオロはどなたになるのかな。平野さんダンテと二手に分かれてプリンシパルほぼ総出演になりますね。ロンドン在住なら全公演観たい。

ゼナイダ・ヤノウスキーとスチュワート・キャシディがロイヤル・バレエ・スクールの2組のペアの生徒さんにアシュトン《ラプソディ》のリハーサル。生徒たちの心と体のヘルスケアの配慮も十分されていることにも感心しました。しかしなんて綺麗な生徒さんたち。ゼナイダとスチュワートの的確でわかりやすいコーチでさらに見違えるように。ピアニスト、ロバート・クラークのラフマニノフも美しい〜

クリス・リードによる映像の《コントーション》が一部初公開されました。近く完全公開予定だそうです。マシュー・ボールがダンサーの身体的・心理的な探究について語っていて、リハーサルやワークアウトの様子がフィルミングされているようなのでファン必見ですね。

続いてノーザン・バレエのリハーサル。新作、NYCBプリンシパル、タイラー・ペック振付《Intimate Pages》のリハーサル。元ロイヤルのプリンシパルのフェデリコ・ボネッリ(ノーザンの芸術監督)がコーチ。タイラーがコーチするところが見れるかな?とちょっと期待していましたが、彼女のニューヨーク・シティ・バレエはWBDに参加してないし、オン・シーズンなのでやはりあり得なかったですね。

ギャリーさんの2024年のクリエイト&ダンス・プロジェクト(UK国内向け)の告知やクリエイティブ・エクスチェンジ・プログラムの紹介と映像の後は、キャシー・マーストン《ザ・チェリスト》のリハーサル。イギリスの伝説のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの一生をテーマにした作品で2020年にローレン・カスバートソン(チェリスト)とマルセリーノ・サンベ(楽器)によってプレミアされました。今年の公演ではローレンは2人目の女の子の出産後、チェリストで復帰しました。

今日のリハーサルはマヤラ・マグリ(チェリスト)とルーカス・B・ブレンツロド(指揮者)の結婚の場面でした。今夜がマヤラたちの最後の公演にあたるのでさらっと終わりましたが、よくぞカメラの前でリハしてくれました。

新しい振付家を育成する企画に参加のジョシュア・ユンカーや新進振付家ジョセフ・トゥーンガの新作紹介の後は、ナタリア・オシポワとリース・クラークのリハーサル《ドン・キホーテ》。姉御すぎるキトリとチャラいバシリオ、楽しませてもらいました。

シネマの告知、そしてヴァレンティノ・ズケッティ《アネモイ》、こちらも先ほどのチェリストと同じで今夜のためのリハーサル。ラフマニノフの音楽に合わせたシャープで鮮やかな振付、若いダンサーの見せ場がたくさんでエキサイティング。佐々木須弥奈さんは存在感があってゴージャス。急遽代役のハリソン・リーは今夜がデビューという事態発生の中、コーチのヴァレンティノは数時間後の公演に無理のないようにと若いダンサーたちに注意を与えつつ、緊張感のあるきっちりしっかりのリハーサルで、観ている私まで時々息を呑みながら見入ってしまいました。

盛りだくさんで見応えたっぷり。ウィリアムのダンテを観れただけでもう大満足でしたが、《アネモイ》と《ラプソディー》のリハーサルもとーってもよかったです。

Royal Academy of Dance

ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンス(RAD)は、バレエ検定試験と教師資格取得プログラムなど幅広く実施しています。

リヤン・ベンジャミンによる《ジゼル》のヴァリエーションのレッスン。ロイヤル・バレエ学校の生徒のエラは一年前からソロのパート練習を始めたところで、リヤンのコーチを受けるのは初めてとのこと。カメラと多くの関係者に囲まれてのリハーサルでしたが、リヤンが伝える「スタイルとクオリティ」が短時間で著しくレベルアップしていました。素晴らしいリハーサル。

その後はRADのバレエ教育のシラバスを採用している中国、インド、南アフリカなどなどのお教室の紹介。

English National Ballet

イングリッシュ・ナショナル・バレエはセンターレッスンから映像はスタート。みなさん表情が固く、積極性がないような?先生が合わないの??と不安な前半でしたが、カメラに緊張していたようです。レッスンが終わりに向かうにしたがって、みんな伸び伸びとしていました。良かった、心配しましたよー。

アクラム・カーン《ジゼル》のリハーサル。ジゼルは高橋絵里奈さん、アルブレヒトはジェームズ・ストリーター、ヒラリオンは猿橋賢さん。中世の貴族と農民を描いた古典ジゼルの1幕が、カーン版では現代の裕福な地主と移民労働者たちに変わり、世間的に認められない2人が愛しあった結果、ジゼルのお腹の中には…そのせいで抹殺…というリアリティのあるストーリー。

インド舞踊のカタックとダンスを融合させた振付やオリジナリティのあるフォーメーション、人間の根源を思い起こさせるような動き。古典ジゼルの動きではないし、音楽も全く違うのに、ジゼルにしか見えない。ヒラリオンのジゼルへの愛がただただ純粋なものではなく、なんというかオーバーパワリングな嫌な感じも見え隠れして、さらに上流階級に取り入るようなはしっこさがアルブレヒトとの対峙でも明らかで、本当にアクラムって天才。そして、絵里奈さんジゼルのなんと哀れで深い悲しみに満ちていることか。

2幕の亡くなった女性労働者の亡霊のウィリたちは、地下に囚われた怨霊と化していて、リハーサルなのにめちゃくちゃ怖い。死んだジゼルもポワントで立っているのに、古典のバレエとは正反対に、まるで地中に引き摺り込まれそうなのを抵抗しているかのよう。アルブレヒトとのパ・ド・ドゥは身体の重みが強調され、絶望感が胸に迫る。音楽はヴィンチェンツォ・ラマーニャ。アダン原曲のモティーフを微かに残しつつのモダンな音楽も秀悦で、涙なしに観ていられません。絵里奈さん&ジェームズご夫妻のパートナーリングの妙もあると思いますが、ぜひライブで観たいと強く感じた素晴らしいリハーサルでした。

Northern Ballet

ノーザン・バレエは、元ロイヤル・バレエのプリンシパルのフェデリコ・ボネッリ芸術監督が、古巣の英国ロイヤル・バレエの配信を借りる形で、2:45:40からタイラー・ペック振付《Intimate Pages》のスタジオリハーサルをしました。

New Adventures, Matthew Bourne’s Romeo and Juliet Company

マシュー・ボーン率いるニュー・アドヴェンチャーズはスコットランド・アバディーンにあるヒズ・マジェスティーズ・シアターのステージで行われたレッスンの様子を配信。数々の主役に選ばれてきたモニク・ジョナスによるコンテンポラリーレッスンはコンガのリズムに合わせて行われます。モニクのムーヴメントがとても滑らかで、指先や爪先からエネルギーが放たれてとても美しい!2024年4月に来日公演がありますから、とても楽しみです。

Birmingham Royal Ballet

バーミンガム・ロイヤル・バレエは、初演《アクシオス》、プリンシパルダンサーのラクラナ・モナハン振付のダンス・フィルムの紹介から。振付家とアーティストダンサー(コール・ド・バレエ)を育て、クオリティを高め維持するプロジェクトとして制作されています。

ラフマニノフ:幻想的小品集 Op.3-2 “プレリュード“、Op.3-4 “道化師“、プレリュードOp.23-5ト短調の3曲を使っていて、美しい作品に仕上がっています。

この日ダーシー・バッセルをコーチに迎え、ピーター・ライト版《眠れる森の美女》のリハーサル。まずは栗原ゆうさんがオーロラ姫のエントランスシーンとヴァリエーション、それからHaoliang Fengとの指導を受けます。基本的なことから、プリンセス・オーロラのスタイルの極意に至るまで惜しげもなく。

全世界向けライブ配信、観客入りのリハーサル、かつレジェンドのダーシーのコーチ!という、若いダンサーにとって緊張MAXな状況に、ダーシーは限りなく共感と思いやりを寄せています。ゆうさんはこの映像が今後何度も何度も見返す宝物になりましたね。

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