ワールド・バレエ・デー 2023

目次

World Ballet Dayのスケジュールが発表されました

今年もワールド・バレエ・デーが開催されます。World Ballet Day10年目のアニバーサリーということで、これまでで最も大規模なプログラムが予定されています。

公式ホームページとタイムテーブルはこちら

普段は見ることが叶わない、世界中のバレエ団のクラスレッスンやリハーサル、まもなく始まる公演の一部などが無料配信される夢の恒例企画です。主にYouTubeで配信されます。YouTubeはほぼアーカイブ配信(見逃し配信)されると思いますが、観れる期間が限定されたり、最近まで観れたのに、今は観れないものなどがあるので、お気に入りのカンパニーの配信はLIVEか、なるべく早くご覧下さいね!

また、例えばマイアミ・シティ・バレエはYouTubeでレッスン公開予定ですが、インスタグラムのストーリーズで舞台裏を覗けたり、ダンサーに直接質問する機会もあるようです。バレエ団によってはフェイスブックやインスタグラムによる視聴だったり、TikTokを使ったりと、それぞれにこの日を盛り上げる工夫をしています。

英国ロイヤル・バレエ団、オーストラリア・バレエ団、サンフランシスコ・バレエ団が中心となり、現在(10月21日)60のバレエ団や教育機関の参加と概要が発表されています。

必見!3つのPrincipal Companies

英国ロイヤル・バレエ団

英国ロイヤル・バレエ団はたっぷり5時間のライブ・ストリーム。プリンシパルのアレクサンダー・キャンベルとプリンシパル・キャラクター・アーティストのクリステン・マクナリーがクラスレッスン、《くるみ割り人形》と《ダンテ・プロジェクト》のリハーサル、その他舞台裏を紹介予定。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)11:00〜16:00 UTC+0(日本時間 20:00〜2日 01:00


↓過去記事。内容発表されました!
ロイヤルは何のリハを公開するのかまだ?発表していないのですが、World Ballet Dayのサイトのロイヤル・バレエのコンテンツにある写真がダンテ・プロジェクトのものなのです。これはもしや、今シーズン配役されているウィリアム・ブレイスウェルのコーチをエドが行うからではないの「キャー」と勝手に推理妄想&期待を高めてます。そうならいいな、そうなって欲しいな、お願いそうしてっ!!!

オーストラリア・バレエ団

オーストラリア・バレエ団は創立60年とWorld Ballet Dayの10周年を祝うライブ・ストリーム。芸術監督のデイビット・ホールバーグによるクラスレッスン、《白鳥の湖》のリハーサルが公開され、シニア・アーティストのジャレッド・マデンとTV司会者のリヴィニア・ニクソンによる紹介予定。→デイビットによるレッスンではなくなったようです。リハーサルもスワンレイクの記述が消えてしまいました!デイビッドは具合が悪くてお家で配信を観ているとのこと。なんと残念な!!!
YouTubeで観れます

2023年11月1日(水)10:30〜13:30 UTC+11(日本時間 8:30〜11:30

オーストラリア・バレエ団が60周年を記念してリプロダクションした《白鳥の湖》は、現在オーストラリア内をツアー中です。デイビッドがこのスワンレイクについて語り、リハーサルや新しくした美しい衣装などを紹介している映像をシェアしますね。デイビッド、まだジークフリードが踊れそう!

サンフランシスコ・バレエ団

サンフランシスコ・バレエ団は2022年に芸術監督に就任したタマラ・ロホとゲスト(誰でしょう?気になる…)によるクラスレッスン、それぞれ来年1月と4月にワールドプレミアを控えた《Mere Mortals》《Carmen》 の紹介、トマソン版《白鳥の湖》、ブリティッシュ・アイコンズ(マクミラン《大地の歌》とアシュトン《マルグリットとアルマン》どちらもタマラが愛するレパートリー)と盛り沢山に予定されています。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)11:30 〜14:30 UTC-7(日本時間 11月2日(木)03:30〜06:30

ヤンヤン・タンが来シーズンにマルグリットが踊れて嬉しい、とリハーサル風景をインスタにアップしていました。彼女のキャリアを考えると、素晴らしくマッチしたレパートリーになるだろうと確信します。タマラによる来シーズンの紹介映像をどうぞ。ちょっと長めですが、新作《Mere Mortals》や《Carmen》のことも話していてとても興味深いです。

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シュツットガルト・バレエ団

シュツットガルド・バレエ団は10月末のダブル・ビルのプログラム、リメンバー・ミーからジョン・クランコ《イニシャル R.B.M.E.》のステージ・リハーサルを公開予定。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)13:00〜14:30 UTC+1(日本時間 21:00〜22:30

R.B.M.E.はクランコのインスピレーションの源である4人のソリスト(リチャード・クラガン、ビルギット・カイル、マルシア・ハイデ、エゴン・マドセン)のイニシャル。曲はブラームスの代表作とも言えるピアノ協奏曲第2番全4楽章。ピアニストだけが主役でなく、独立したソロを聴かせながらとても交響的で、なんなら第3楽章の主題はチェロがリードする。クランコはそのような曲の性格もバレエになぞらえたんでしょうね。

ソリストたちからはもちろん目が離せませんが、コール・ド・バレエのアンサンブルも考え抜かれ、舞台美術と衣装はユルゲン・ローゼの大変美しいバレエです。1973年に45歳の若さで亡くなったクランコが、1972年に創作した《Initials R.B.M.E.》をシュツットガルドの現代のスターダンサーたちが踊る。

イニシャルは”Remember me”の略語にもなり、まるで自身の早すぎる死を予見したかのよう…とこのダブル・ビルのタイトルになったそうです。このタイプの作品はどんなに名作であっても、日本では興行的に成功しないと考えられてガラの抜粋以外に上演はされないでしょう。なるべく踊りを観せて欲しいな、と願います。2022年のステージ・リハーサルはちょっと指導が多かったような…

イングリッシュ・ナショナル・バレエ

イングリッシュ・ナショナル・バレエはクラスレッスンに続いて、今年の8月に正式に芸術監督に就任したアーロン・S・ワトキンとプリンシパルダンサーによるメアリー・スキーピング版《ジゼル》のリハーサルなどを紹介予定。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)12:00〜13:00 UTC+0(日本時間 21:00〜22:00

ENBは現在、衝撃×傑作アクラム・カーン版《ジゼル》のワールドツアー中で、スキーピング版の公演は2024年1月。ワンシーズン中に版違いの、しかしどちらもENB初演の《ジゼル》を観れるというのは、観客としてはとても面白い試みだし、バレエ文化の層の厚さを感じさせるというか、羨ましい限りです。

スキーピングの『ジゼル』は、1841年にフランスで初演された当時の楽譜と構想・演出を再現しようとした作品なので、音楽や演出に見慣れたものが無かったり違ったりしますが、場面設定やキャラクターが際立って、より心が揺さぶられるように感じます。衣装も可愛い。

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

バーミンガム・ロイヤル・バレエは、この日ダーシー・バッセルをコーチに迎え、来春のピーター・ライト版《眠れる森の美女》のマスタークラスを観せてくれるそうです。また、プリンシパルのラクラン・モナハン振付のダンス・フィルム=ワールドプレミアを紹介予定。
Facebookで観れます。

2023年11月1日(水)17:00〜20:30 UTC+0(日本時間 11月2日(木)02:00〜05:30

この日のマスタークラスは眠りのどの部分をダーシーがコーチするのかは当日のお楽しみですが、ライト版の眠りではリラの精はカラボスと同様にマイムで物語を進めます。特徴的なのは2幕の「目覚めのパ・ド・ドゥ」。100年の眠りから覚めたオーロラ姫が、フロリムント王子とお互いに打ち解け合い、愛を育むようなエレガントなパ・ド・ドゥです。美しいバイオリン・ソロ「No.18 Entr’acte」が使われます。この踊りがあることで、起きて会っていきなり結婚式?!のショックが和らぎます。重厚な衣装も素敵だし、ピーター・ライトらしく、フェアリーテイルの楽しさは残しつつ、現代人にも納得のいく話の落とし所をつけてくれる演出が素晴らしく素敵です。

カナダ国立バレエ団 

The National Ballet of Canadaは11月にワールドプレミアのヘレン・ピケット振付《エマ・ボヴァリー》のリハーサルを紹介予定。
Facebookで観れます。

2023年11月1日(水)13:00〜13:15 UTC-4(日本時間 11月2日(木)02:00〜02:15

芸術監督のホープ・ミューアと振付のヘレン・ピケットがリハーサルを行うそうです。フローベールの長編小説「ボヴァリー夫人」の物語をバレエにしたわけではなく、現実を見失い、ロマンティックな理想を追い求め死に至る、エマ・ボヴァリーが象徴する人物像が描かれているそうで、物語バレエの優れたクリエイターとして名高いピケットの新作に期待させられます。

ベルリン国立バレエ団(Staatsballett Berlin)も10月20日から《ボヴァリー》を世界初演。こちらも空想の世界と現実の融合、死にいたる結末までが描かれているそうで、スタイリッシュなスパック作品も観てみたいものです。The National Ballet of Canadaは、わずか15分間しか配信予定がない(表記間違い?)のですが興味津々です。

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)

ABTはスーザン・ジャフィによるクラスレッスン、イリーナ・コルパコワとプリンシパルダンサーたちによるリハーサル、将来有望なバレエダンサー(17〜21歳)が属し、プロフェッショナル・パフォーマーに育成するABTスタジオカンパニーによる《ライモンダ》が紹介される予定。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)15:00〜17:15 UTC-4(日本時間 11月2日(木)04:00〜06:15

ノーザン・バレエ

ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、タイラー・ペック振付《Intimate Pages》のリハーサルを公開予定。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)14:00〜14:30 UTC+0(日本時間 23:00〜23:30

英国北部の都市リーズに拠点を置くノーザン・バレエは、英国5大バレエ団のひとつ。23/24シーズンからは元英国ロイヤル・バレエのプリンシパルのフェデリコ・ボネッリ芸術監督が本格始動したので注目です。

2023年夏『The Artists-バレエの輝き-』公演のために来日したタイラー・ペックは、バランシン・ダンサーとして鮮やかな超絶技巧、音楽と遊ぶように詩的でロマンティックにガラを大いに盛り上げ、3つのカップル(アメリカン・バレエ・シアターの3人、NYCBのタイラー+1人、英国ロイヤル・バレエの1人)の掛け合いのような振付作品も披露しました。滑川真希さん演奏のフィリップ・グラスとチック・コリアの大変タッチングなピアノ曲に載せた作品は、スタイルの異なるダンサーの個性や能力を生かした優れた作品でした。タイラーについては別コンテンツを用意しないと!

《Intimate Pages》はタイラーがヨーロッパのバレエ団から依頼された最初の振付作品で、ノーザン・バレエのために制作されました。レオシュ・ヤナーチェクの弦楽四重奏曲 第2番『ないしょの手紙』=Intimate pages、もっと簡単に言うとラブレター、にインスピレーションを得て作られた作品です。さすがタイラー、選曲が素晴らしい。

モナコ公国 モンテカルロ・バレエ団

モンテカルロ・バレエはクラスレッスンと、芸術監督で振付家のジャン=クリストフ・マイヨーによるリハーサル公開が予定されています。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)13:30〜16:00 UTC+1(日本時間 21:30〜11月2日(木)00:00

洗練された斬新な演出で心に響く作品を数多く振り付けたジャン= クリストフ・マイヨーの元へ集まるダンサーたちは、世界中から集まった優れたダンサーたちです。2022年に《じゃじゃ馬馴らし》で来日公演を行った際も、高いテクニックと鋭い感性で、マイヨーの世界観を余す事なく魅せてくれました。

開演前からお洒落で実用的な仕掛けが用意されていたり、パフォーマンスを知り尽くしたマイヨー・ワールドに観客心がくすぐられます。来月からマイヨー版《ロミオとジュリエット》のプログラムがあるので、そのリハーサルかな?と期待しています。

パリ・オペラ座バレエ団

こちらのコンテンツをご覧ください。

日本から参加のバレエ団

新国立劇場バレエ団

新国立劇場バレエ団は愛知県芸術劇場のスタジオからクラスレッスン、今年の4月世界初演のウィル・タケット振付《マクベス》の紹介映像などがライブ配信される予定です。見逃し配信は11月30日(木)23:59までだそうです。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)11:30〜13:00

K-BALLET TOKYO

K-BALLET TOKYOは蔵健太さんによるクラスレッスンと熊川版《眠れる森の美女》のリハーサルとメイキングの紹介予定。蔵さんは英国ロイヤル・バレエ団を退団後に日本人初の英国ロイヤル・バレエ学校の教師を務めていましたが、この9月に開校したK-BALLETアカデミーの校長就任で帰国しています。熊川版眠りは創立25周年記念の新制作です。
YouTubeで観れます。

2023年11月1日(水)13:00〜14:45

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