2023年は眠れる森の美女の当たり年?!

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劇場が眠りから目を覚ます?

はしばみ

今年は「眠り」の公演が多かったような…
この秋〜年末には、東京バレエ団やK-Balletがニュープロダクション、牧阿佐美バレヱ団はネラ&ワディムをゲストに招いた公演があるのよ。

にゃん

コロナ禍でお休みせざるを得なかった劇場が「眠りから目を覚ます」って?

鑑賞レポ:英国ロイヤル・バレエ Live in CINEMA「The Sleeping Beauty」

日本では2023年5月24日にLIVE CINEMAを兼ねて上演された公演を、8月末に映画館で見ることができました。
英国ロイヤル・バレエにおいて「The Sleeping Beauty」は、第二次世界大戦中に避難所になっていたコヴェントガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスが、戦後の1946年2月に再開された時に初演され、劇場の眠りを覚ました作品と位置付けられているようです。

私には今回の公演は世界観にまとまりがなく、長年ロイヤルバレエの大ファンとして観てきた公演の中で唯一かな、全面的には楽しめませんでした。

理由その1:衣装が好みじゃない。色もデザインもゴテゴテしていて、ケミカルなファブリックをそれとわかるように多用していて、古典的な舞台美術とマッチしていない。似合うダンサーが限定されるのかもしれない。トレーラーの芙生ちゃんオーロラが着ている一幕の衣装は可愛く見えるので。舞台全体で見た時のミスマッチ感なのかな、着る人と美術が違えば衣装が生きるのかもしれない。

理由その2:プティパの振付をもとに、アシュトン、ダウエル、ウィールドンが付け足し改訂した版で、それぞれのいいところが消されてしまって、観たいものが観れないようなもどかしさを度々感じました。プティパ+活躍した時代やタイプの異なる優れたコレオグラファー3人もの振付を、足し算引き算?するのは無理があるんじゃないかと思いました。

さすがThe Royal Balletだったのは、カラボスのクリステン・マクナリーとブルーバードのジョセフ・シセンズ。クリステンの隙のないパーフェクトな動きと演技、ジョセフの溢れるバレエ愛と爽快な跳躍、2人には心からワクワクさせてもらいました!!

鑑賞レポ:マシューボーン in CINEMA 眠れる森の美女

ニュー・アドヴェンチャーズの「Matthew Bourne’s SLEEPING BEAUTY A Gothic Romance」は、初演から10周年を記念して、2023年1月にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場でライブ撮影された舞台が、日本では8月25日から公開されました。

私は恵比寿ガーデンシネマで観ました。この映画館は上映される作品のセレクトもいいんですけど、併設の&Cafeが大好きです!コーディアル(フルーツお花、 ハーブやスパイスをシロップ漬けにしたドリンク)が飲める映画館って他にもあるのかな?エルダーフラワー、ラズベリー&レモン、ハニーレモン&ジンジャー全部美味しいですけど、今回は眠りということでピンクのラズベリーにしてみました。

伝統的なバレエ作品ではありませんが、全編MAXに興奮状態をキープして楽しめる作品。バレエファンにも、白タイツ・姫×王子バレエがアホっぽくて苦手なアンチバレエの方にもオススメ。古典的なプティパ振付の眠りのエッセンスは残っているのに、共感しやすいファンタジーに革新的に再構築されている。衣装も素敵。そして音楽の使い方が秀悦!

プロットの変更に伴って、また105分間に短縮されているので、チャイコフスキーの眠りを全て使えませんが、それは通常のバレエ公演でもそうで、例えばカットされがちな曲に、究極に美しいバイオリンソロのひとつ「No.18 Entr’acte」があります。

ヌレエフ版では王子のソロで艶やかなヴァイオリンをたっぷりと聴くことができます。憂いの王子が森の中を彷徨って(もちろん優雅なる超絶技巧で踊ってますが!)いるんですが、センチメンタルで美しい響きと相まって最高に気分があがる場面です…この曲をマシュー・ボーンが素晴らしいタイミングで使っています。

オーロラ姫のアシュリー・ショー、レオのアンディ・モナハン、ライラック伯爵のパトリック・フィッツパトリック、カラボスのベン・ブラウンなど、個性的なキャラクターが際立ち、最高に心躍る舞台映画です。Blu-rayになって欲しい!

来年の春はロミオとジュリエットの日本公演が予定されているので、こちらもとっても楽しみ。

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