ロイヤル・オペラ・ハウス2023/24シネマシーズン vol.3

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第2弾 バレエ《ドン・キホーテ》

日本では2024/1/26(金)~2024/2/1(木)に日本各地の映画館で鑑賞できます。
カルロス・アコスタ版《ドン・キホーテ》2023年11月7日(火)19:30からの上演で、イギリスをはじめとする世界中の約1300の映画館でライブ上映されました。

この日はシネマの撮影だけでなく、国王チャールズⅢ世とカミラ王妃両陛下がご臨席され、ROHが特にパンデミック以来感謝の意を表しているNHS(ナショナル・ヘルス・サービス=国営保険制度)の職員や、支援しているウクライナの人々の合唱団、バレエとオペラに関連する学校などの教師や生徒たち、関係者の多くを招待した大変スペシャルな夜だったそうです。

キャスト

ドン・キホーテ
ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ
リアム・ボスウェル
ロレンツォ
トーマス・ホワイトヘッド
キトリ
マヤラ・マグリ
バシリオ
マシュー・ボール(セザール・コラレスからの変更)
ガマーシュ
ジェームズ・ヘイ
エスパーダ
カルヴァン・リチャードソン
メルセデス
レティシア・ディアス
ドルネシア姫
ナディア・マロヴァ-バーレイ
キトリの友人
ソフィー・オールナット
前田紗江

2人の闘牛士
デイヴィッド・ドネリー
ジョセフ・シセンズ

ジプシーの恋人たち
ハンナ・グレネル
レオ・ディクソン

森の女王
アネット・ブヴォリ
アモール
イザベラ・ガスパリーニ
ファンダンゴを踊る2人
ミカ・ブラッドベリ
ルカス・B・ブレンツロド

ギターを弾く人々
フォーブス・ヘンダーソン
ダニエル・トーマス
ナイジェル・ウッドハウス
トム・エリス

指揮
ワレリー・オブシャニコフ
プリンシパル・ゲスト・コンサートマスター
ヴァスコ・ヴァッシレフ
オーケストラ
ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

カルロス・アコスタによる《ドン・キホーテ》はプティパ版の新改訂で、見慣れた演出が無く、反対に「えっ?バレエなのにこんなことするの?」といった小さい驚きも散りばめられていて、主役2人だけでなく、舞台全体、全キャストに対しての演出が細やかな点が、アコスタらしくて好きです。

ただ、観る人の好みもあると思いますが、この作品を好意的に観るかどうかはキャストにあり、と断言します(笑)どんな作品もキャスト次第なことが多い、というのが私の基本姿勢なので、今更ですが…

セザール・コラレスが降板して、マヤラ&マシューになったのは結果的に大吉と出たんじゃないでしょうか。2人ともセルフエスティームが高くアンビシャスなカップルなので、シネマの撮影が入るとなれば最高のものを世界中に届けようと尋常でない力を発揮するだろう、と予測していました。

一部を当人たちのSNSで観ただけですが、相当しっかり良いリハーサルをしてきたと見受けられ、目を疑いました。マヤラもマシューも大スターであり世界中の人気者ですが、2人ともあんなにテクニックがあるのに、いい時と悪い時の落差が大きく、役の性格や、特にスタイルを無視して踊ることが多く私は好みませんでしたが、そもそもドンキは彼らにいかにもハマる演目。

カルロスやリヤン・ベンジャミン、ゼナイダ・ヤノウスキーがコーチに名を連ねていますし、シネマ+戴冠式以来初めての国王のお出まし公演…ROHはこれ以上ないほど仕上がりに心血を注いだことと思います。

もう2人の癖だと思って諦めていた(わたし何様?!)雑な粗いところが矯正され、ロイヤル・プリンシパルの気品がベーシックにありながら、ドンキらしく奔放さとエネルギー溢れる最高のバレエで、2人の魅力全開でした。全体を見るのが待ち遠しくてなりません!!!

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